かなしい夢
投稿者柚太郎さん
2006年02月16日 01:50:03
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夕暮れ飛行
母と姉と僕は三人で昼の繁華街を歩いていた。僕は無口で姉と母が口論をしているが、いつものことなので違和感はない。場所は分からないのだが、懐かしい街の風景が続き、僕はまだ思春期だった頃の記憶を噛み締めて酸っぱい気持ちを胸に押し込めながら歩いていた。夢の中の自分は中学生だった。明るい通りを三人で歩く。すると向こうから現在の、19歳である自分が一人うつ向きながら歩いてきて僕とすれ違う。母も姉も、そして19歳の僕も、お互いに気付くことは無い。中学生の僕だけが自分を見つめていた。すれ違いざま、僕は立ち止まり振り返る。歩き去っていく三人の後ろ姿。一人、立ち止まり、見えなくなるまで眺めていた。僕は中学生の僕では無く、今の僕に返っていた。ただ喪失感に包まれて僕は一人うつ向きながら歩き始めた。今まで歩いてきた道を逆行する、一人で。
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